ONE / AIR (2003)

 

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One - AIRのアルバム - Apple Music

2003.11リリース TOSHIBA-EMI

01. daybreak
02. starlet
03. tell me more
04. liar
05. dog run
06. goldfish
07. one way
08. morning
09. the sea of a bed
10. bicyclist
11. I have a dream

produced by AIR
  

  車谷浩司のソロユニットAIRの7枚目のオリジナルアルバム『ONE』がリリースされた。
ファンでも、もう7枚目?と思うが、スパイラル・ライフ(以下SL)が解散してAIRを始動したのは1996年。考えてみれば、BAKU(ホコ天出身のアイドルバンド)でデビューから数えて、早いものでもう13年目の中堅なのである。
 僕はSL後期(1995~1996年頃)からファンになったクチなので、どの時期にファンになったかで求めるものが当然違うと思うが、ソロ(敢えてそう呼ぶ)になってからの彼は、色々なものに手を出してきた。というか、得意なもの(メロディ、ハーモニー満載のもの)を封印し茨の道を進んできた。
アルバム毎に色は違うけど、新たなファンを獲得してきたのでファンの数も減ることなく(セールスも含めて)一線で活躍してきた。
その彼が、初期はジャズっぽいものやグランジパンク・ロックシューゲイザー、ハードコア、ミクスチャー系ロック、ラップメタルみたいなもの(RAGE AGAINST THE MACHINEWEEZER、などその時に聴いてきた元ネタが透けてしまうところが、所謂カタログアーティストと言われてきた渋谷系の名残がある。)
と試行錯誤を重ねてきたが、前作『MY WAY』でもかなりメロディ重視路線に傾いてきたところ、先行シングルの『One Way』、『Starlet』が上々の出来であったことから、今回最高傑作ができるのではないかと密かに期待していた。
自分の声を生かしたポップス(メロディ重視)が自分の進む道だと気付いたとインタビューを読んだときは本当に嬉しかった。
 アルバムの出来であるが、今までにない声の特徴(ネオアコ声ってやつ)を生かしたムーディー(というか牧歌的な)①、先行シングル②⑧で聴かせた「これぞポップソング」というメロディ・メーカーとしての実力を充分に発揮した楽曲。
前のシングルのVer.違いで久々にブラスが鳴り響せたが、SLの「Hershees Chocorate」のAIR版と言っても過言ではない③。④では、政治的なキワドイ歌詞(ホント今どきの、名指しにした米国首相批判)まで登場。サビはTALASの「Shy Boy」にそっくり。これと、⑥はラップぽい雰囲気を残しているかな。
⑤では、新境地の南国の薫りを匂わせたりして。⑦以降は間違いなくAIR史上、最もメロディアスに聴かせている。
ピアノを生かした曲やアコースティック・ギター、そしてゲスト・ヴォーカルにヒックスヴィル真城めぐみを迎えた⑪では、ソウルフルに車谷とデュエットしている。
間違いなく、過去最高のメロディ満載。できる男が本気を出したら恐ろしい。(一リスナーとしては嬉しい限りだ。)
 年明けに⑩をシングルカットし、SLの解散コンサートが行われた1996年以来、8年振りに横浜アリーナへ車谷が帰ってくる。
最高傑作を作ってしまった今。そしてアリーナ以降、今後の動向も気になるところだ。ますます目が離せない。(またしてもリセット?)

<お薦め度>★★★★☆